平成14年10月11日の講演会・運営委員会の報告

幹事 石出 明


  1. 研究会講演会

     平成14年10月11日13時20分より、神戸国際会館第7会議室 において研究会講演会を開催した。約30名の参加を得て、活発な 討論を交え盛会のうちに15時20分に終了した。
     講演題目、講演者(敬称略)及び講演概要は下記のとおりである。

    (1) 「空港シュードライトの研究動向と飛行実験」
    福島荘之介、齋藤真二、藤井直樹
    (独立行政法人 電子航法研究所)、
    須賀秀一、角田寛人
    (株式会社東芝社会インフラシステム社)

     空港シュードライトは、GPSを用いて着陸進入する航空機に 測距信号を与えるシュードライト(擬似衛星)の一形態で、 米国のRTCA(航空技術規範委員会)により狭域補強システム (LAAS)のオプションとして検討されている装置である。

     空港シュードライトは1970年代に米軍により開発され、1990 年代には米国でその応用実験が行われ、現在オハイオ大学と 米連邦航空局(FAA)が実験を行っている。我が国では、1998 年に航空振興財団がその開発を開始し、2001年には電子航法 研究所と共同で飛行実験を行った。

     この空港シュードライトはWBコードを用いたパルス方式で、 飛行実験によって遠近問題を解決できること、そしてその改善 効果は特にVDOPが悪いときに大きいこと等を実証できた。


    (2) 「USEFに於ける衛星開発」
    浜 一守(USEF)

     USEF(無人宇宙実験システム研究開発機構)は無人宇宙実験 システム機器及び運用管制システムに関する研究開発・運用、 無人宇宙実験システムに関する調査研究・普及開発等を主要業務 として1986年に設立された。

     USEFのプロジェクトには、SFU、USERS、SERVIS等がある。SFU は宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、通産省の共同プロジェクト で、1995にはH-IIロケットにより打ち上げられ、GaAs、CdTe、InP 等の焼成実験が行われた。

     USERSはリエントリモジュールの大気圏再突入・帰還技術の開発 ・実証、軌道上微少重力環境下での大型高温超伝導材料の結晶 成長実験、民生技術・部品の宇宙環境下での機能検証等を目的 とするプロジェクトで、その衛星は今年9月にH-IIAロケットに より打ち上げられた。

     SERVISは人工衛星バス・機器類を国際競争できるように低価格 化するために民生部品・技術の地上評価試験及び宇宙実証実験を 行うプロジェクトである。
     試算によれば、従来45億円であった衛星機器を部品等の低価格化 により約15億円にすることが可能である。SERVIS1号は平成15年度 にロシアのROCKOTによって打ち上げる予定である。


    (3) 「神戸空港の概要」
     小柴善博(神戸市みなと総局)

     神戸空港は、神戸都市圏の航空利用者の利便を図ることを 目的とした第3種空港である。空港はポートアイランドの南3km の所に位置し、その総面積は272haで2500mの滑走路1本を設置する。
     就航予定の路線は関東以北では東京と札幌、関東以南では 福岡、鹿児島、宮崎等の九州、沖縄等が予定されている。

     平成11年に着工し、現在護岸内側の埋め立て工事が進められて おり、今年度末にはターミナル部分を中心に約80haが陸地になる 予定である。

     関西圏の3つの空港のうち、関空は世界各地を結ぶ国際線の 拠点空港、伊丹空港は国内線の基幹空港そして神戸空港は神戸 都市圏の国内需要をまかなう都市型空港という位置づけに なっている。

     神戸空港の管制は、関空の開港時に導入された「広域一元 管制システム」の中で、関空、伊丹とともに一元的に行われる。 神戸空港は平成17年に開港する予定である。


  2. 研究会運営委員会

     研究会運営委員会は同日12時から13時まで、 神戸国際会館第7会議室において開催された。
     出席者及び審議事項は下記の通りである。

    2.1 出席者

    惟村、大沼、笠巻、木村、小塩、近村、長岡、石出

    2.2 審議事項

    (1)平成14年度前期活動報告

    • 平成14年度会計中間報告は原案の通り承認された。

    • 平成14年5月17日に東京商船大学で開催された 春季研究会講演会の概要について報告がなされた。

    • ニュースレターは今年度1回(第46号)発行された ことが報告された。


    (2)平成14年度後期活動計画

    • 今回の講演全てを「NAVIGATION」へ執筆依頼 することになった。

    • 次回講演会については、GPS研究会及び 電気学会次世代位置情報技術調査専門委員会との 共催で実施することが承認された。講演テーマに 関しては、成層圏プラットホーム、航空機における 位置の利用等について検討する。



「NAVIGATION」第155号 pp.95-96(平成15年3月)より


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