平成15年5月23日の講演会・運営委員会の報告

幹事 石出 明


  1. 研究会講演会

     平成15年5月23日10時より、海上技術安全研究所講堂 においてGPS研究会及び産業システム情報化技術委員会(電気学会) と共催で研究シンポジウム「次世代位置情報技術」を開催した。
     約120名の参加を得て、活発な討論を交え盛会のうちに 16時50分頃に終了した。
     講演題目、講演者(敬称略)は下記の通りである。

    (1) 「インターネットITSと位置に関連した考察 実用化に向けて」
    高橋邦彦(日本電気)

    (2) 「GPS搭載の携帯型被害情報収集端末の開発」
    田村裕之、座間信作、細川直史、畑山 健、
    遠藤 真、新井場公徳、高梨健一、関沢 愛(消防研究所)

    (3) 「歩行者支援RCTプロジェクトと高精度位置取得技術」
    矢入(江口)郁子(通信総合研究所)

    (4) 「遮蔽環境での位置特定技術」
    初本慎太郎、渡邊正彦、木原 一(日立産機システム)

    (5) 「基準局ネットワーク方式RTK-GPSの応用」
    岡本 修(茨城工業高等専門学校)

    (6) 「GPSを用いた列車走行位置自立検出システム」
    辻野昭道、真木康隆、佐々木君章、榎本 衛
    (鉄道総合技術研究所)

    (7) 「高速飛翔体におけるGPS利用に関する研究」
    宮野智行(東京都立航空工業専門学校)

    (8) 「準天頂衛星システムを利用した高精度測位サービス」
    村上牧子、古川敏雄、齋藤雅行
    (新衛星ビジネス株式会社)

    (9) 「成層圏プラットホーム飛行船の研究開発について」
    中館正顕(航空宇宙技術研究所)

    (10) 「ユニバーサル・アクセス・トランシーバ(UAT)の技術概要」
    伊野正美、角田寛人(東芝社会インフラシステム社)

    (11) 「テレビ放送を面補正パラメータ(FKP)伝送に利用した
    ネットワークRTK測位実験」

    西川啓一(三菱電機)、笹野耕治(テレビ朝日)、
    田中 隆(エル エス アイ ジャパン)、長谷川博幸(ジオネット)、
    浪江宏宗(防衛大学校)


     上記講演のうち、航空宇宙研究会関連の講演の概要は以下の通りである。

    「準天頂衛星システムを利用した高精度測位サービス」

     日本では準天頂衛星の打ち上げが計画されている。準天頂衛星 では3機の衛星を8時間毎に切り替えて、常時日本の天頂近くに 衛星を配置することにより、24時間連続のサービスを提供できる。

     平成14年11月に設立された新衛星ビジネス株式会社では、 準天頂衛星を利用したサービスの提供を平成20年度に開始すべく 事業化の検討を進めている。

     現在は、準天頂衛星にGPS擬似衛星としての機能を持たせた、 GPSの補完および補強サービス等を検討している。
     GPS補完サービスの検討例として、測位可能時間の改善率を 模擬した結果、新宿の中低層ビル街、公園、高層ビル街を含む 地域で測位面積率が24%から70%に増加した。
     測位精度の改善サービス、GPS測位時間の短縮サービスの 概要も示した。


    「成層圏プラットホーム飛行船の研究開発について」

     平成12年度から「ミレニアムプロジェクト」として、成層圏 飛行船の実用機に必要な技術の実証を目的に、成層圏滞空試験機、 定点滞空試験機の開発が開始された。

     無動力で15kmの成層圏高度まで上昇する長さ46.4mの成層圏 滞空試験機の目的、設計概要および飛行プロファイルを示した。 茨城県日立試験場から平成15年夏に放船される予定。

     高度4kmを動力により風に抗して滞空する長さ67.8mの定点 滞空試験機の目的、設計概要および飛行試験の概要を示した。 平成16年に北海道大樹実験場で飛行試験が実施される予定。 成層圏飛行船を擬似衛星とした測位サービスの概要も示した。


    「ユニバーサル・アクセス・トランシーバ(UAT)の技術概要」

     国際民間航空機関で、将来の航空における監視の1つ として航空機が自らの位置情報、識別情報等を特定の 時間間隔で放送する放送型自動従属監視(ADS-B)が 検討されている。
     これを実現するデータリンクとして、SSRモードS 拡張スキッタ、VDLモード4およびUATがある。RTCA DO-282を基にUATの概要を紹介した。

     UATは1 Mbpsを超える容量を持つ複数目的のデータ リンクで、ADS-Bのみならず、飛行情報サービスの放送、 交通情報サービスの放送を行うことができる。
     放送メッセージには、ADS-Bと地上アップリンクの 2つのタイプがある。

     飛行情報サービスでは、気象データ、空域の アドバイザリなどの情報が地上から放送される。
     交通情報サービスではUATを装備した航空機に UATを装備しない航空機のデータを地上から提供する。


  2. 研究会運営委員会

     研究会運営委員会は同日12時から13時まで、 海上技術安全研究所講堂において開催された。
     出席者及び審議事項は下記の通りである。

    2.1 出席者

    惟村、天井、大沼、笠巻、片野、木村、久木田、小塩、近村、西

    2.2 審議事項

    (1)平成14年度活動報告

    • 平成14年度会計報告は原案の通り承認された。

    • 平成14年10月11日に神戸国際会館で開催された 秋季講演会の概要について報告がなされた。

    • ニュースレターは今年度2回(第46号、第47号) 発行されたことが報告された。


    (2)平成15年度活動計画

    • 平成15年度の予算執行計画は原案の通り承認された。

    • 次回講演会の講演テーマに関して、広島空港のCAT-III化、 広島周辺のコミュータ運航等について検討する。

    • 平成15年度に研究会の設立申請を行うことが承認された。

    • 当研究会選出編集委員より、平成14年度後期の編集委員会 の概要報告があった。



「NAVIGATION」第157号 pp.76-77(平成15年9月)


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