平成15年11月14日の講演会・運営委員会の報告

幹事 石出 明


  1. 研究会講演会

     平成15年11月14日13時30分より、神戸国際会議場402号室 において研究会講演会を開催した。
     約20名の参加を得て、活発な討論を交え盛会のうちに 15時30分に終了した。
     講演題目、講演者(敬称略)及び講演概要は下記のとおりである。

    (1) 「最近のILSの高カテゴリー化に関する研究動向について」
    〇横山尚志、朝倉道弘、田嶋裕久
    (独立行政法人 電子航法研究所)

     釧路、熊本及び新東京国際空港にCAT-IIIのILSが導入されて 以来、停波(outage)に至る平均時間(MTBO)はローカライザで 4,712時間以上、グライドパスで3,332時間以上となっており、 米国等と比べ良好である。

     現在青森空港と広島空港でCAT-III化が進められている。
     青森空港では積雪の影響があるので積雪による進入コースの 予測技術を開発し、積雪時のグライドパス特性の評価、解析を 行っている。

     また、広島空港では、ローカライザの特性予測計算を行って 滑走路末端で生じる偏移感度の変動がターミナルビルディング による回析波の影響であることを明らかにした。
     またコーススプリットはローカライザアンテナを2周波方式 にすれば解消できることも明らかにした。


    (2) 「準天頂衛星システムに適用する軌道と衛星システム」
    野口龍紘、〇村上牧子(三菱電機株式会社)

     準天頂衛星システムの概要及び軌道構成の検討結果について 報告された。

     準天頂衛星システムは日本の上空を通過する軌道の衛星3機を 8時間毎に切り替えることによって常時衛星を日本の天頂付近に 配置して、静止衛星では実現できない高仰角で通信・放送に使用 できるようにするとともに、静止衛星やGPSと組み合わせて更に 高精度でアベイラビリティの高い測位を可能とする。

     現在検討している軌道としては、離心率0、0.1及び0.2の 3種類がある。衛星仰角、ハンドオーバーの容易さ、ドプラー 周波数、ビームずれ、姿勢制御に必要な推薬量等を基に3種類の 軌道を比較した。
     現在のところ、離心率0.1または0.2のどちらかが0よりも良い という検討結果がでている。


    (3) 「実験用エンハンスト・ビジョン・システムを用いた
    画像融合とその評価」

     〇住谷泰人、小瀬木滋、白川昌之
    (独立行政法人 電子航法研究所)

     エンハンスト・ビジョン・システムはパイロットが自航空機 周囲の状況を把握するのを視覚的に援助するシステムであり、 電子航法研究所ではヘッドアップ状態で集中表示できる表示技術 の開発等を目的として画像取得・融合システムの試作・評価を 行っている。

     実験システムでは、DGPSによる位置、ジャイロによる姿勢等を 利用して、ビデオによる可視画像と赤外線画像を融合し、3D画像 を作成した。
     飛行実験を行って得られた融合画像について、パイロットの 評価を行い、12フレーム/秒以上の動画が良好であることがわかった。


  2. 研究会運営委員会

     研究会運営委員会は同日12時15分から13時15分まで、 神戸国際会議場402号室において開催された。
     出席者及び審議事項は下記の通りである。

    2.1 出席者

    惟村、大沼、木村、小塩、近村、坂井、石出

    2.2 審議事項

    (1)平成15年度前期活動報告

    • 平成15年度会計中間報告は原案の通り承認された。

    • 平成15年5月23日に海上技術安全研究所講堂で GPS研究会および産業システム情報化技術委員会(電気学会) と共催で開催された研究シンポジウム「次世代位置情報 技術」の概要について報告がなされた。

    • ニュースレターは今年度1回(第47号)発行された ことが報告された。


    (2)平成15年度後期活動計画

    • 今回の講演全てを「NAVIGATION」へ執筆依頼 することになった。

    • 次回講演会については、次世代航空管制、MSAS運航方式、 新しいコミュータ機、衛星搭載高精度時計・較正方式、 航空機ヒューマン・ファクター等について検討する。

    • ニュースレターの作成は本年度あと1回発行することとした。

    • 平成15年度前期の編集委員会の概要報告があった。

    • 次年度におけるニュースレターの取り扱い等 については次回の運営委員会で検討することになった。



「NAVIGATION」第159号 pp.119-120(平成16年3月)より


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